

Y邸奥さまのお話から・・
「ヒノキの森を訪ねる旅」のお手紙をくださった、Y邸のリフォームが完成。Y邸ご夫妻を囲む温かな内覧会で、ゆっくりと言葉を選ばれる奥様に伺った。ここは奥さまが生まれ育った家、三代目になる三人のお孫さん達との2所帯同居のリフォームに、ご両親もご一緒に笑みがこぼれる。
ストレスの多い毎日だから、普段から自然に触れた生活がしたいと、ヒノキのリフォームを選んだ。壁はもみ殻入りの珪藻土。調光器をつけたリビングの穏やかな明かり。奥さまは、ヒノキの床のやさしい肌触りに「足が喜ぶ感じ」とおっしゃる。「今度は庭のデッキに挑戦したい」とご主人。
ミッション系の大学でオルガンに目覚めたという奥さまは、教会のパイプオルガンを弾くチャペルオルガニストとして活躍している。オルガンに向かう時間は、妻でもなく母でもない自分の時間だとか。パイプオルガンは風を聴くように弾くという言葉に、自然に触れていたいというご主人と、ピッタリ息のあう暮らしがのぞく。
築30年以上たち暗くて湿気が多い。とにかく風通しと日当たりが欲しかった。壁を壊し骨組みしか残らない位にして、床下にも風が通るように、換気口をつけ風を通す。床下に潜り地震で傾いた部分を治し、畳下の腐りも取り除いていく大工の職人技を見て、リフォーム業者とはワケが違うと思った。

アイランド型キッチンにしたいけれど、広さが足りない。ヒノキのキッチンの提案は嬉しかった。贅沢な職人の技をつかうキッチンの引き出しは、細かい収納品のサイズを計って作られている。手仕事のこだわりは、階段下の押入にもあり、取り出しやすい奥行き、長いモノが収まるように工夫がしてある。
とにかく広くて気持ちいいスペースを作る。そこに美味しいもの一つでもあれば、みんなが自然に集まるからと、ダイニングテーブルにこだわった。ヒノキの森を案内してくれた、よこはまきんぺいさんデザインのヒノキの食卓。いいものだから、ランチョンマットを使い、一手間かけて大事に使おうと思う。
「この森のこの木が来る、この木を戴くんだわ。」と実感して始まった家作り。「お互いに知恵を出しあう家作りは、楽しかった、本当に…」旅の途中、山の加工場でもらったヒノキの端材を、お風呂に入れて楽しまれているとか。腰板をヒノキにした洗面所からは、爽やかな香りが漂う。
どうでもいいモノを選ぶのは嫌だから、気に入るモノを探したいし、プラスチックは置きたくない。いま家具やカーテン選びが楽しみでと、ご主人が候補にあげている家具カタログを見せてくださる。「みんなで床にワックスを塗ろうって言ってるんですよ。」とお手入れの話さえも、家族の楽しみになる。
「また、家族でヒノキの森を訪ねる旅をしたい。今度は参加できなかった長女も一緒に、同じメンバーで訪ねたい。」控えめな奥さまが目を輝かせておっしゃた。ヒノキの森を訪ねることから始まった家づくりが、ご家族の思い出になったら、こんなに嬉しいお仕事はないだろう。
(取材・文:ボーンクラブ おかきた まり)
2004.03.01